湯村温泉郷と竹中英太郎記念館

弥生美術館訪問記 2006年12月

弥生美術館
弥生美術館

東京・本郷の東京大学弥生門の近くに弥生美術館があります。委細はホームページの「 館の概要」をご覧いただきたいと思いますが、昭和59(1984)年6月1日に弁護士・鹿野琢見先生によって創設された美術館です。隣接の竹久夢二美術館も平成2(1990)年11月3日に同じく鹿野先生により開館しています。

2006年9月30日から12月24日まで、竹中英太郎生誕百年記念として、「竹中英太郎と妖しの挿し絵展〜エロティシズムとグロテスク・・・闇にきらめく妖美の世界〜」が開催されていました。私は10月早々にでも訪問する予定でいました。竹中英太郎記念館の館長さんは10月17日に訪問されたことを日記に書いていらっしゃいますが、私は館長さんより先に行こうと考えていたのに決行できたのは寒さが身にしみる終了間際になってからでした。「弥生美術館記念展情報」ページを書いていたのに、このありさまです。

弥生美術館
ここは弥生式土器発掘ゆかりの地

上野の森美術館で開催されている「生誕100年記念―ダリ回顧展」を併せて訪問したので、そのまま上野公園から谷中に抜けて言問通りを歩いて行くことにしました。このルートは下り坂(善光寺坂)なので根津1丁目交差点までは歩くのも楽です。交差点からは東大方向に上り坂です。車でしばしば通っていた言問通り(ことといどおり)ですが、歩くのは初めて、かなりの急坂なのだとわかりました。

東大に向かって坂の途中の信号のある交差点を左に行けばよいのは分かっていましたが、その角に「弥生式土器発掘ゆかりの地」という石碑がある事も初めて知りました。まったく、車で通るのと歩くのとでは、こんなに見える世界が違うのですね。その意味では私も今日はオノボリさんです。

弥生美術館
道案内の標識が整備されています

この道は、言問通りから上野不忍池方面に出る時の車としても抜け道なのですが、曲がれば案内標識が立っていて弥生美術館訪問に迷うことはありません。緩やかな下り坂です。本郷方面から来る時は東大構内を歩いて弥生門から出てきてもよいのです。この道の右側はずっと東大本郷キャンパスの塀が続きます。

弥生美術館
右が東京大学の弥生門

100mほどで立原道造記念館があります。こちらも理事長は鹿野先生で、弥生・竹久と3館共通の割引き入館ができるようになっていますが、この日は時間の関係でパスしました。

弥生門の少し先が弥生美術館です。角が「港や」というコーヒーショップになっていて、植え込みに見事な「弥生美術館」の看板が立っています。そこから見える光景はまさにタイムスリップして大正ロマンの世界入口の趣です。

弥生美術館
弥生美術館

竹中英太郎記念展の写真はありません、内部は撮影禁止です。
湯村の特別展と同様に昭和初めの挿繪画家時代の流れを横溝正史、江戸川乱歩、夢野久作などの作品とともに原画の展示でした。その時代の流れがとても分かりやすい展示でしたので、未だ頭が整理されていない私にはとても勉強になりました。
横溝正史の「鬼火」の挿絵については、原画を所蔵する世田谷文学館からの出展で、これは竹中英太郎記念館でも複製しか見られないものでした。うーむ、怪人二十面相に頼んでこれを盗み出しても湯村で展示できない有名な作品ですから、ここで拝見する以外に道は無い、ちょっと口惜しいですね。山梨市に寄贈された横溝正史の書斎は世田谷成城にあったのですから、確かに世田谷ゆかりの作家ということで、その作品の挿絵なのですから仕方ないか。

竹中英太郎が挿絵の印刷技術に革命をもたらしたと言われる作画技法については、湯村で原画をなめるように見ていましたので、ここでは少し遠目に見ても理解ができたことは竹中英太郎記念館のお蔭です。

戦後の作品については湯村から出展された絵画が主体です。9月以来モノクロの世界に入り込んでいましたから、別な環境で久しぶりに友人に会ったような気持ちがしました。

 

その他の挿絵画家や併設館の竹久夢二の作品など、美術館のたたずまいと共に立ち去り難い思いを断ち切って会場を後にしました。

弥生美術館
弥生美術館の案内板
弥生美術館
高畠華宵のレリーフ
 
弥生美術館
竹久夢二のレリーフ
弥生美術館を出たら左に進む事をお勧めします。私はたまたま不忍池方向に行くつもりで歩き出して、美術館とそのお隣にある鹿野琢見先生宅まで続く塀に掲げられたレリーフなどに気が付きました。もし来た道をもどっていたら、これらに出逢う事もなかったでしょう。
弥生美術館
自販機の先が弥生美術館
 
この先から左に道をとれば地下鉄根津駅方面に抜けることができます。真っ直ぐに進めば池之端の東天紅(中華料理店)裏手に出ます。

弥生美術館では2007年1月3日から「生誕百年記念 挿絵画家 志村立美展」が始まります。4月1日の終了日までには私は再びここを訪れることになる、そしてまた新しい出会いがあるという期待。

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