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大工哲弘さんの甲府桜座公演

2006年7月21日(金)19:30から甲府の桜座で沖縄・八重山島うたの第一人者、大工哲弘さんの三絃(三線・さんしん)弾き語りによる唄会がありました。

桜座は満席に近く百名以上のお客さんが入っていました。場内装飾が全く無いといってよい桜座で観客席に座ったのは初めてでしたが、写真撮影はフラッシュを使わなければよろしいと許可をいただきました。

大工哲弘
開演を待つ
大工哲弘
前ぶれ無しに始まったうちなーぐちの島唄
 
桜座も初めてなら生で島唄を聞くのも初めてです。登場された大工さんは黙って座ると直ちに2曲を唄われましたが、その歌詞は全て沖縄方言(うちなーぐち)であって意味が全くわかりません。甲府エリイアンの私にとって甲州弁も大変でしたが、これはまるで外国語です。
頭に巻いておられるのは美しい紫色です。写真では色が変化して見えますが全て同一のものです。「サージ」と呼ばれるもののようですが、私は沖縄民族衣装の特徴のように思っています、詳細は知りません。いつか沖縄に行ったら手に入れたいですね。
大工哲弘
しみじみと沖縄の教訓歌について解説し
大工哲弘
あるいは笑いも誘うエンターテイナーでした
 
琉球王朝時代からの歴史をもつ島唄は、圧政に苦しむ民衆の心を唄うものであったり、先祖を敬い親兄弟を大切にし仕事に励むことを教える教訓歌であったりと様々な意味があるようです。名前をメモし忘れましたが学校の愛唱歌として続いている土地では子供たちの成長に優れた効果をもたらしているという話も聞けました。
大工哲弘
竹中英太郎記念館館長さんから花束贈呈
大工哲弘
竹中労さんの思い出を語り、当時の唄を
大工哲弘
マイクから離れても響き渡る歌声
大工哲弘
「かりゆしウェア」が遠くからも見えるようにと立ち上がり唄う
 
大工さんは椅子に座ったまま身動きせず三線を弾きながら、マイクも不要と思える朗々とした声を場内に響かせておられ、これには驚きました。立って歌う時にはそれなりの発声は出来ると思うのですが、座ったままというのが長年の鍛錬の凄さを思わせました。これは日本の伝統芸能、邦楽とよばれる分野でしばしば感じる事で、舐めるようにマイクを使わねば歌にならない今様の歌手とは全く違うと、私は思っています。

曲目の中には「雨降りお月さん」など中山晋平作曲の歌も交えられましたが、これは大工さんの「ジンターランド」というシリーズ・アルバムで続けておられるのだそうです。童謡歌手が歌うのとは違った懐かしい歌が、高齢者養護施設の慰問で皆さんを奮い立たせたという話もありました。このCDの最新版が7月23日発売とのこと。「大工哲弘が唄う、もうひとつのやいま唄の記憶」という記事があります。Amazon.com でも入手可能なことを確認しました。

桜座というのはおもしろい環境です。何も飾りの無い黒い背景の舞台とも言えぬ場所に座って唄う大工さんの背景に沖縄の海や山が見えてくるように思えます。大工さんがその自然の中に座って三線の弾き語りをするのを、私達は取り囲んで聞いているという雰囲気に次第になってきたように感じました。
大工哲弘さんが再び甲府に来演される日をお待ちしたいと思います。それまでに「うちなーぐち」の歌詞も少しは判るようになっておきたい。